就業規則
就業規則は、従業員の労働条件や職場規律など職場のルールをを具体的に定めたもので、云わば会社の法律といえます。
労働基準法89条において、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則の作成と届出を義務づけています。
必要性
企業において就業規則は、従業員の労働条件等を統一して処理できることにより職場の秩序が維持でき生産性の向上が図れると同時に、従業員とのトラブル防止に役立つというメリットがあります。
また、従業員にとっても労働条件や職場のルールが定められることにより、安心して働くことができるというメリットがあります。
この就業規則ですが、理想を言えば、事業立ち上げから、なるべく早いうちに導入するのがベストです。
なぜなら、上にも記載してある通り、就業規則は、その職場の労働条件だからです。
ある程度、職場の環境が整ってから導入すると、それに合わせた形で導入しない限り、反発も生まれます。
何事も「最初が肝心」です。
「労働法を守って、事業運営していくのは大変」だと言う声を聞きます。
確かに、嘘偽りのない言葉でしょう。
ただ………そもそも、給与設定自体に問題のある場合もあると思うのです。
平成24年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1 学歴別にみた初任給(厚生労働省)を参考にすると、高卒157,900円/月となっています。
これが適正かどうかは別にして、これ以外に、皆勤手当・資格手当・通勤手当等の諸手当(必ずしも支給が必要というわけではないですが……)や時間外労働手当(絶対支給が必要)を考慮すれば、総支給額は200,000円を超えるくらいになるのではないでしょか。
でも、これを、見た目の給与額を大きく見せるために、基本給200,000円としたら、どうでしょう?
時間外労働など払ったら、厳しくなるのではないでしょうか?
そもそも、法律に照らせば、最低賃金以上の賃金を支払えば良いわけです。
ちなみに、静岡県の最低賃金は765円(H26.10.5より)です。
1ヶ月の法定労働時間が、30日の月は171.4時間なので、131,121円支払えば良いことになります。
基本給200,000円など、破格の待遇ということになります。
でも、この事業所は、時間外手当を支払っていなければ、労働基準法違反を問われます。
先に述べた基本給157,900円で時間外手当を支払っていれば、労働基準法違反には問われません。
従業員の立場に立ってみても、
基本給が多くても、サービス残業を強いる事業所と
基本給はそこそこでも、研修や移動時間等といった分が残業手当として支給される事業所では、
残業手当が支払われた方が、総支給額が同じであっても、気持ちよく働けるものだと思います。
代表的な労働条件である賃金を例にしましたが、就業規則は会社の労働条件です。
まず、しっかりとこれを規定することが、トラブルを減らし、安定した事業運営を行う基盤となるものだと考えます。
ちなみに、介護事業所では、有期雇用労働者等は、個別に労働契約を結ぶ形にしているところも多いかと思います。
その場合、 就業規則 > 労働契約 という関係ですので、
就業規則を下回る労働条件を労働契約で定めても就業規則の基準まで労働条件は引き上がることになります。
就業規則の効力発生
「労働者への周知」です。(労働基準法106条・労働契約法7条) ※就業規則には、賃金規程や退職金規程などの社内規程や、就業規則の委任を受けて定めれた内規、また労働基準法で規定している労使協定なども含みます。
労働者への周知方法(施行規則52条の2)
(1) 常時作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること
(2) 書面を労働者に交付すること
(3) 磁気テープ、磁気ディスクその他これに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること※労働基準監督署への届出は、判例によれば、「効力発生に影響はない」とされています。ただ、労働基準法第89条違反にはなります。