サービス残業対策
タイムカードの打刻について
基本的には、タイムカードの打刻時間が労働時間だと解釈されます。
したがって、タイムカードの打刻時間内に労働時間でないものが含まれているのであれば、
そのことを証明することができなければ、タイムカードに打刻された時間が労働時間とされてしまう
可能性は否定できません。
これを防ぐ手段として、残業許可制を採用している事業所も多いかと思います。
この場合、就業規則に「基本的に、残業は、管理者の許可に基づいて、業務命令として行う」と明記しておいた方が良いです。
ただ、この場合、注意が必要な点があります。
「許可さえしなければ、それは残業にはならない」ということではないのです。
「默示の承認」という考え方があります。
これは、通常の所定労働時間に終わらないような業務量を使用者が労働者に課していた場合に成立します。
その場合、残業代の支払い義務は生じることになります。
まぁ、当然といえば当然の気もしますが、見て見ぬふりはできないということです。
ただ、残業代の許可制を否定するものではなく、あくまで運用の問題です。
この制度の導入のメリットとして
- 事業所が、所定労働時間内にこなせるだけの適正な業務量になっているかの、見直しの意識にもつながります。
- 職員側が所定労働時間内に業務をきっちりと終了させようという意欲につながります。
これを機能させるためには、使用者側と職員側で適正な業務のすり合わせを行う必要があります。
職員側に、「できない量の仕事を押し付けられている」との認識が生まれることとなります。
その上で、どのような場合に、許可をすることができるのかを明確化しておくことです。
介護サービスは、人を相手としたサービスです。
当然不測の事態は起こります。
- 利用者の対応(事故など)に追われて、報告書を書く時間がなかった。
- 時間に間に合わせようとするが、利用者が職員のペースに合わせてくれない。
このような事態に遭遇したら、時間通りに帰ることはできないでしょう。
もちろん、これは残業代として認めるべきケースだと考えられますが、
これが不測の事態ではなく、恒常的に起こっていることだとしたら、残業代を支払うのは適切な行為なのでしょうか?
業務改善(例)
- 職場内で、報告書を書く時間を捻出できるよう業務改善を行っていく。また、報告書の内容は、適正なのか?不要な記載をしていることで記入時間が長くなっていないか?
- 業務引継ぎの意識を持ってもらう。責任感が強く、交代の職員に頼んで帰りづらいと考える方も多いです。就業時間内にこなせるだけの業務量なのかをチェックした上で、時間内に終わらない事態が生じた場合(毎回終わらない場合は業務の見直しが必要)には、交代の方に引き継いで帰るよう意識付けを行います。