介護施設の特殊性
介護の職場が一般企業と明らかに異なるのは、専門職の集まりだということ。
看護師には看護師の、介護福祉士には介護福祉士の、理学療法士には理学療法士の、作業療法士には作業療法士の、社会福祉士には社会福祉士の職業倫理があるわけで、社員として、企業の運営方針に従う義務があると同時に職業倫理にも従わなければならないわけです。
そのベクトルが同じ方向を向いていれば問題ないわけですが、違う場合は運営方針(企業理念)と職業倫理の間に挟まれることになるわけです。
経営(効率・利益の追求)と福祉(QOLの向上)は基本的には相反するものであるし、福祉(QOLの向上)と医療(治療優先)も相反するものです。
その相反する考え方がぶつかり合うのが介護現場であり、そこには当然衝突が生まれます。
それが、介護方針が違うとか人間関係の悪化に繋がります。
そして、やる気のある人間、自分の仕事に誇りを持っている人間ほど、この傾向は強いです。
職種ごとに職業倫理があるのですから、考え方が違って当たり前。
大事なのは、職種間の意見を集約して調整することです。
最終的には、良好なコミュニケーションが図れているかどうかです。
これが悪化した時に、どうなるのでしょう?
離職者の増加や労務トラブルに繋がります。
そもそも社内のコミュニケーションが良好ではなく、社内解決が望めないと思われるから、外部に問題が持ち出されます。外部に持ち出されれば、法律問題になりますね。
私は、法律で物事を解決するのは、最終手段だと考えています。その前に話し合いによる解決ができれば、それが一番良いでしょう。
勘違いされている方も多いのですが、裁判含め法律というものは、何が正しいのかを判断するものではなくて、紛争を解決するものです。
話し合いによって問題が解決しないから、法律問題になるのです。裏返せば、話し合いで解決すれば、法律など必要ないのです(法律を破って良いということではないですし、そもそも明らかに法律違反であれば、話し合い自体がまとまらないでしょう)。
もちろん、法人として、就業規則等の社内規則を整備して紛争に備えることは重要なことですが、それと同時に社内のコミュニケーションの円滑化、その人が正しいと思えることが言える環境づくりも重要なことでしょう。