傷病手当金(健康保険)との併給はできますか?
(1)同一傷病により障害厚生年金と傷病手当金が両方もらえる場合
障害厚生年金の支給事由となった傷病により、健康保険から傷病手当金が受給出来る場合は、原則として傷病手当金の方が全額支給停止(障害年金が優先支給)されます。
但し、障害厚生年金の年額(同一の事由により障害基礎年金がもらえる場合はその年額を加算した額)を360で除した額が、1日当たりの傷病手当金の額に満たない場合は、その差額分の傷病手当金が支給されます。 ⇒ 最低でも、今まで貰っていた傷病手当金の額は保障されるということです。
(2)同一傷病により障害基礎年金と傷病手当金が両方もらえる場合
例えば、障害基礎年金のみを受給する人が会社に就職(厚生年金に加入)し、その後、障害基礎年金の支給事由となった傷病により継続4日以上休業し、傷病手当金を受給する場合、障害基礎年金は傷病手当金との併給調整の対象にはなりません。
(傷病手当金が不支給、又は減額されることは有りません。)
尚、同一傷病により障害基礎年金に加えて障害厚生年金がもらえる場合は、上記(1)に該当します。
(3)同一傷病により「障害手当金」と「傷病手当金」が両方もらえる場合
障害手当金の支給事由となった傷病により、傷病手当金が受給出来る場合は、(1)のケースと同様に傷病手当金の方が、その累積支給額が障害手当金の支給額に到達する迄支給停止されます。
※障害年金(又は障害手当金)の支給事由となった傷病と傷病手当金の支給事由となった傷病が異なる場合は、併給調整の対象外です。
したがって、併給調整の対象となる場合については、障害年金を遡及請求して、その期間中に傷病手当金を受給していた場合には、重なる期間について障害年金の支給時に傷病手当金を返さなくてはなりません。
では、一体いつ障害年金の請求をすれば良いのでしょう?
減額調整があるため、傷病手当金の受給後に障害年金の請求をしようと考えられる方もいますが、あまりおすすめできません。
理由を挙げれば……
・障害年金の請求手続きは時間がかかるので、実際に支給が始まる前に傷病手当金の支給期間が終わってしまう場合がある。
・初診日から時間がたてばたつほど障害年金の請求に必要な書類を集めるのが難しくなっていく。
以上のことから、無収入期間を少しでも少なくし、傷病手当金から障害年金へスムーズに移行するためには、傷病手当金の支給期間終了の6ヶ月前あたりから障害年金の請求準備を始めることをお勧めします。
【傷病手当金について】
・支給開始日→病気やケガで仕事を3日以上連続で休み、4日目以降の休んだ日にたいして支給される。
・支給期間→支給開始日から1年6か月後まで。(1年6か月分ではなく1年6が月後までです。)
・支給金額→1日につき標準報酬日額の3分の2
ただし報酬の一部が支給されている場合は差額のみ支給。傷病手当金を超える報酬が支給されている場合は支給されない。