2026年10月20日 障害年金コラム

障害年金が不支給になった時の審査請求|3か月の期限と進め方の全体像

障害年金が不支給になった時の審査請求|3か月の期限と進め方の全体像
ご相談者相談者

障害年金を請求したのですが、先週「不支給」の通知が届きました。これだけ生活に困っているのに、どうして認められなかったのかもよくわかりません。知り合いから「審査請求という方法がある」と聞いたのですが、何をどうすればいいのでしょうか。

社会保険労務士 梅田貴彦梅田

まず、通知書を手元に置いてください。日付と、理由が書かれている欄がとても大切です。審査請求には「決定があったことを知った日の翌日から3か月」という期限があります。この記事では、通知書の読み方、理由の調べ方、審査請求の出し方と書き方、通らなかった時の次の手、そして「出し直す」という別の道まで、順番にお話ししますね。

結論からお伝えします。不支給の通知が届いたら、①通知書で「不支給」か「却下」かと日付を確かめる、②処分をした日本年金機構に理由の説明を求め、必要なら保有個人情報の開示請求で審査の資料を取り寄せる、③3か月以内に社会保険審査官へ審査請求を出す、④同時に「もう一度請求し直す」方が早くないかも比べる、という順番で進めます。大事なのは、気持ちではなく「どの書類のどの記載が、事実とどう違うのか」を一点に絞って示すことです。

この記事は、静岡県で障害年金のご相談を受けている社会保険労務士・社会福祉士の梅田貴彦が監修しています。日本年金機構・厚生労働省・e-Gov法令検索の資料(2026年10月20日に確認)にもとづいて書き、当センターで実際にあった受給事例も紹介します。

不支給と却下はどこが違うのか|まず通知書の言葉と日付を確かめる

障害年金の請求に対する返事は、認められた時は年金証書、認められなかった時は不支給決定通知書や却下通知書という形で郵送されてきます。この2つは似ていますが、つまずいた場所が違います。不支給は「審査はしたが、障害の状態が等級に届かないと判断された」場合、却下は「初診日や保険料の要件といった入口の条件が確かめられず、障害の状態の審査まで進めなかった」場合に使われます。どちらなのかで、次に補うべき資料がまるで変わります。

通知の種類つまずいた場所次に補うことが多いもの
不支給決定通知書障害の状態が等級に当てはまらないと判断された日常生活の実態が診断書に反映されているか、認定基準のどの項目で評価されたか
却下通知書初診日・保険料の納付など、入口の要件が確かめられなかった初診日を示す資料、年金の加入記録と納付の記録
等級が想定より低い決定審査はされたが、等級が3級などの判断になったなぜその等級になったのかの根拠と、診断書の記載との食い違い

📚 用語解説

不支給決定通知書:請求の内容を審査したうえで、障害の程度が障害等級に当てはまらないと判断された時に届く通知。理由を書く欄があり、どの認定基準でどう判断されたかが示されます。

📚 用語解説

却下通知書:初診日が確認できない、保険料の納付要件を満たしていないなど、請求の入口の要件を満たしていないために、障害の状態の審査まで進まなかった時に届く通知。

通知書に理由が書かれているのには、法律の裏づけがあります。行政手続法第8条は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時にその処分の理由を示さなければならない、と定めています(出典:e-Gov法令検索「行政手続法」第8条)。ですから、通知書の理由の欄は「形式的な一文」ではなく、審査請求で向き合う相手の主張そのものです。ここを読み飛ばして気持ちだけで書き始めると、議論がかみ合いません。

届いた通知 不支給 等級に届かない判断 却下 入口の要件で止まった 3級など 等級が想定より低い 年金証書 決定の内容を確かめる
通知書の言葉で、どこでつまずいたのかを見分ける。補う資料は通知の種類で変わる(判断分岐図)
ご相談者相談者

私の通知書には「障害の状態が障害等級に該当しない」と書いてありました。これは不支給ということですね。

社会保険労務士 梅田貴彦梅田

はい、入口の要件は通っていて、障害の状態の評価で止まったということです。この場合に見直すのは、初診日の資料ではなく、診断書に書かれた日常生活の様子と、病歴・就労状況等申立書の中身です。どこが実際の生活と違うのかを探すところから始めましょう。

通知書で必ず控えておきたいのは、①通知の種類、②決定の年月日、③その通知を受け取った日、④理由の欄の文言、⑤年金証書記号番号や基礎年金番号の5つです。特に③は、このあと出てくる3か月の期限を数え始める日になります。封筒も捨てずに取っておいてください。当センターでも、ご自身で請求して不支給の通知を受け取った後にご相談いただくことがよくあります。たとえば糖尿病・人工透析で障害基礎年金2級が認定された事例(静岡市)は、ご自身で請求して初診日不明により不支給とされていた方でした。

⚠️ 「理由がよくわからない」まま日数を使わない

通知書を見て落ち込み、そのまま置いてしまう方が少なくありません。しかし審査請求の期限は、決定があったことを知った日の翌日から3か月です。理由がわからなくても、まずは通知書の日付を確かめ、残りの日数を数えてください。調べるのと並行して動けるよう、日程から先に押さえます。

今日やることは3つです。通知書と封筒を1か所にまとめる、受け取った日をカレンダーに書き込む、3か月後の日付に印を付ける。これだけで、あとの判断がすべてやりやすくなります。次の章では、そもそも審査請求とはどんな手続きなのかを整理します。

審査請求とは何か|社会保険審査官に処分の見直しを求める手続き

審査請求とは、日本年金機構が行った決定に納得できない時に、裁判によらず、社会保険審査官に見直しを求める手続きです。国民年金法第101条第1項は、給付に関する処分に不服がある人は社会保険審査官に審査請求をし、その決定に不服がある人は社会保険審査会に再審査請求をすることができると定めています(出典:e-Gov法令検索「国民年金法」第101条)。つまり、不服の申立ては、審査官・審査会・裁判所という3つの段になっています。

📚 用語解説

審査請求:保険者(日本年金機構など)が行った処分が、法律などにもとづいた正当なものではないと思われる時に、社会保険審査官に対して見直しを求める手続き。裁判によらない簡易な救済の仕組みです。

📚 用語解説

社会保険審査官:全国8か所の地方厚生(支)局に置かれている、審査請求を担当する職員。事件の審理と決定にあたっては何らの拘束も受けず、自分の名において独立して決定を行います。

東海北陸厚生局の説明では、社会保険審査官は「通常の裁判制度によらず、簡易迅速な被保険者等の権利・利益の保護を目的に」審査請求の事件を担当し、その決定は審査官が独立して行うこととされています(出典:東海北陸厚生局「社会保険審査官」)。静岡県にお住まいの方の窓口は、名古屋にある東海北陸厚生局の社会保険審査官です(富山・石川・岐阜・静岡・愛知・三重を管轄)。静岡から名古屋まで出向くのかと驚かれますが、書類は郵送でも、電子申請でも出せます。

裁判所 処分の取消しの訴え 社会保険審査会 再審査請求・厚生労働省 社会保険審査官 審査請求・地方厚生局 日本年金機構 最初の決定(原処分)
障害年金の決定に納得できない時の3つの段。下から上へ、段を追って進む(ピラミッド図)
ご相談者相談者

審査請求をすると、もう一度ゼロから審査してもらえるということですか?

社会保険労務士 梅田貴彦梅田

そこが大事なところです。審査請求は「新しく請求し直す」のではなく、すでに出された決定が正しかったかを見直してもらう手続きです。ですから、最初の請求の時にどんな資料が出ていたかが土台になります。今の状態が当時より重くなった、という話は、審査請求ではなく別の手続きで扱います。

この違いは、あとの章で扱う「出し直し」との使い分けに直結します。審査請求で見てもらうのは、あの時の資料にもとづいた判断が妥当だったかです。一方、症状が重くなった、あるいは診断書を書き直してもらえば実態が伝わる、という場合は、もう一度請求する方が近道になることがあります。どちらを選ぶかは、不支給の理由がどちらの話なのかで決まります。

段申立て先判断する人
1つめ社会保険審査官(地方厚生局)審査官が1人で、独立して決定する
2つめ社会保険審査会(厚生労働省)審査長と審査員の合議体で裁決する
3つめ裁判所審査官の決定を経たうえで、処分の取消しを求める

審査請求で争えるのは、不支給の決定だけではありません。障害年金を受けられることにはなったが等級が思っていたより低かった、更新(障害状態確認届)の結果等級が下がった、または支給が止まった、額改定請求が認められなかった、といった場合も、保険者が行った処分ですから審査請求の対象になります。逆に、処分そのものが行われていないものは対象になりません。東海北陸厚生局は、確認届による等級変更がないことに関することは対象にならないと明記しています(東海北陸厚生局「審査請求関係でよくあるご質問」)。

行動としては、ご自身の住所地を管轄する地方厚生局がどこかを調べ、電話番号を控えておいてください。静岡県の方は東海北陸厚生局(名古屋)です。電話では「審査請求をしたい」と伝えれば、用紙の入手方法を案内してもらえます。次の章では、いちばん見落としやすい期限の数え方を整理します。

審査請求の期限は3か月|数え方と、間に合いそうにない時の考え方

社会保険審査官及び社会保険審査会法第4条第1項は、審査請求は処分があったことを知った日の翌日から起算して3月を経過したときは、することができないと定めています。ただし、正当な事由によりこの期間内に審査請求をすることができなかったことを疎明したときは、この限りでないという例外も置かれています(出典:e-Gov法令検索「社会保険審査官及び社会保険審査会法」第4条)。日本年金機構も、決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内と案内しています(日本年金機構「年金の決定に不服があるとき(審査請求)」)。

期限数え始める日根拠
審査請求は3か月決定があったことを知った日の翌日社会保険審査官及び社会保険審査会法第4条第1項
再審査請求は2か月審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日同法第32条第1項
訴訟は6か月審査官の決定の送達を受けた日日本年金機構の案内(行政事件訴訟の出訴期間)
郵送の日数は数えない郵便や信書便で出した日が基準同法第4条第3項(送付に要した日数は算入しない)

見落としやすいのが4つめです。同法第4条第3項は、審査請求書を郵便や信書便で提出した場合、送付に要した日数は審査請求期間の計算に算入しないと定めています。期限の数日前でも、郵便局の窓口に出した時点で間に合う計算になります。とはいえ、差し出した記録が残る出し方を選び、控えを取っておくことをおすすめします。

0日 通知を受け取る 翌日から数え始める 〜1か月 理由を調べる 説明と開示請求 〜2か月 書類を整える 理由書と資料 3か月 審査請求の期限 郵送の日数は不算入
不支給の通知が届いてから、審査請求の期限までの3か月の使い方の目安(タイムライン図)
ご相談者相談者

開示請求に1か月くらいかかると聞きました。資料がそろう前に3か月が来てしまいそうです。

社会保険労務士 梅田貴彦梅田

その時は、先に審査請求だけ出してしまいます。理由を詳しく書いた書面は、あとから追加で出すことができます。審査請求書には請求の趣旨と理由を書く欄がありますが、まずは「決定の取消しを求める」という趣旨と、わかっている範囲の理由を書いて期限を押さえましょう。

法律も、あとから資料を出すことを想定しています。同法第10条の3第1項は、審査請求人は証拠となるべき文書その他の物件を提出することができると定めており、審査官が提出の期間を定めた時は、その期間内に出すこととされています。ですから「全部そろってから出す」ではなく、「出してからそろえる」が実際の順番です。期限を過ぎてしまった場合も、正当な事由を疎明できれば受け付けられる余地はありますが、あてにできる例外ではありません。

💡 3か月を過ぎてしまった時に考えること

審査請求の期限を過ぎても、もう一度請求し直す道には期限がありません。症状が重くなっているなら事後重症としての請求、すでに年金を受け取っていて等級を上げたいなら額改定請求という別の入口もあります。期限切れで終わりではないので、まず「今の状況で使える入口はどれか」を確かめてください。

行動としては、通知を受け取った日の翌日から3か月後の日付を紙に大きく書き、その2週間前を「書類を出す日」として予定に入れてください。静岡から名古屋へ郵送する時間も、気持ちの余裕も、この2週間で吸収できます。

不支給の理由を確かめる3つの段階|通知書・説明の求め方・開示請求

審査請求の中身は、理由の調べ方でほとんど決まります。東海北陸厚生局は、審査請求を行うときは、あらかじめ処分を行った保険者に対して、処分の内容についてできる限り詳細な説明(根拠となる法律等を含む)を受けるようにしてくださいと案内しています。あわせて、社会保険審査官は処分を行った保険者ではなく、処分に関する資料も持っていないため、質問には回答できないとも書かれています(出典:東海北陸厚生局「社会保険審査官」)。理由を聞く相手は審査官ではなく、日本年金機構です。

段階することわかること
1段階目通知書の理由の欄を読むどの要件でつまずいたか、どの認定基準が使われたか
2段階目年金事務所に説明を求める根拠となる法律や基準、判断の筋道
3段階目保有個人情報の開示請求をする審査に使われた診断書や認定の記録そのもの

📚 用語解説

保有個人情報の開示請求:日本年金機構が持っているご本人の情報の開示を求める手続き。障害年金では、審査に使われた診断書の写しや、認定の過程を記録した書類を取り寄せる時に使います。

開示請求の手順と費用は、日本年金機構が公開しています。請求は全国の年金事務所(窓口・郵送)または機構本部(郵送のみ)で受け付け、個人情報が記載されている文書1件について300円の開示請求手数料が必要です。開示・不開示の決定は、原則として開示請求書を受け付けた日から30日以内に行われます。郵送で請求する場合は、本人確認書類のコピーに加えて、開示等請求の前30日以内に交付された住民票の写し(コピーは不可)を添える決まりです(出典:日本年金機構「法人文書・個人情報の開示」)。

よくある壁 次の一手 理由が短い一文だけ 年金事務所に説明を求める どの基準か不明 認定基準の項目を確かめる 診断書の中身が不明 開示請求で写しを取る 時間が足りない 先に審査請求を出す
「なぜ不支給なのかわからない」という壁と、それぞれの次の一手(対応図)
ご相談者相談者

開示請求をすると、医師が書いた診断書の中身も見られるのですか。

社会保険労務士 梅田貴彦梅田

見られます。ご自身の請求に使われた書類ですから、取り寄せて中身を確かめられます。実際に読んでみると、日常生活の欄が実態より軽く書かれていた、就労の状況の欄が事実と違っていた、ということがよくあります。そこが見つかれば、話す焦点が定まります。

当センターのてんかんで障害厚生年金3級が認定された事例(三島市)は、ご自身で請求されて「障害の程度が足りない」として不支給とされた方でした。まず前回請求時の診断書を開示請求で取り寄せて内容を精査し、それをもとに主治医へ現在の状態を伝えて診断書を取得したところ、受給権が認められました。決定は約2か月と、非常にスムーズでした。どこがどう足りなかったのかを現物で確かめることが、やり直しの出発点になります。

通知書を読む
→
年金事務所に説明を求める
→
開示請求で資料を取る
→
食い違いを書き出す

障害の状態で不支給とされた場合は、あわせて国民年金・厚生年金保険 障害認定基準の、ご自身の傷病にあたる部分を読んでおくと役に立ちます。「どの項目で、どういう状態なら何級とされるのか」がわかると、診断書のどの欄が結論を左右したのかが見えてきます。年金額や要件の全体像は、日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」で確かめられます。

行動としては、今週のうちに年金事務所へ電話して「不支給の理由を詳しく教えてほしい」と伝え、同時に開示請求の用紙と住民票の手配を始めてください。住民票は30日以内に交付されたものという条件があるので、取る順番を間違えないようにします。

審査請求の出し方|用紙・添える書類・窓口・電子申請・代理人

審査請求は、思っているより身軽に出せます。東海北陸厚生局が案内している提出書類は、審査請求書と、処分の決定通知書の写し(裏面がある場合は裏面も)の2点です。審査請求書の用紙はエクセル版とPDF版が厚生局のページに置かれていて、記入の説明書と記入例も公開されています(出典:東海北陸厚生局「社会保険審査官」)。費用はかかりません。収入印紙も要りません。

項目内容
出すもの審査請求書と、処分の決定通知書の写し(裏面があれば裏面も)
用紙の入手地方厚生局のページからエクセル版・PDF版をダウンロード、または電話で取り寄せ
出し方文書または口頭。郵送のほか、e-Gov電子申請でも手続きできる
出す先住所地を管轄する地方厚生(支)局の社会保険審査官(静岡県は東海北陸厚生局)
費用審査請求そのものに手数料はかからない

法律の上でも、出し方には幅があります。社会保険審査官及び社会保険審査会法第5条第1項は審査請求は文書または口頭ですることができると定め、同条第2項は、原処分に関する事務を処理した地方厚生局・年金事務所など、または審査請求人の居住地を管轄する地方厚生局や年金事務所を経由して出せるとしています。さらに同条第3項で、経由した機関に審査請求書を提出した時に審査請求があったものとみなす、と決められています(出典:e-Gov法令検索「社会保険審査官及び社会保険審査会法」第5条)。つまり静岡県の方は、名古屋まで送らずに、近くの年金事務所の窓口に出しても期限の扱いは同じです。

準備 用紙を手に入れる 厚生局のページ 記入 趣旨と理由を書く 通知書の写しを添える 提出 郵送・窓口・電子 年金事務所の経由も可 受理 保険者へ通知 審理が始まる
審査請求を出すまでの4つの段。郵送でも、近くの年金事務所の経由でも出せる(タイムライン図)
ご相談者相談者

体調が悪くて、自分では書けそうにありません。家族や専門家に任せることはできますか。

社会保険労務士 梅田貴彦梅田

できます。同じ法律の第5条の2で、審査請求は代理人によってすることができると定められています。代理人は審査請求に関する一切の行為ができますが、取下げだけは特別の委任を受けた場合に限られます。ご家族でも、社会保険労務士でも構いません。無理をして一人で書き上げる必要はありませんよ。

📚 用語解説

e-Gov電子申請:国の行政手続きをインターネットで行える仕組み。審査請求書の提出も、e-Govの「社会保険審査請求」から手続きできます。事前にアカウント登録やアプリの導入などの準備が必要です。

電子申請を使う場合は、e-Govのアカウント登録、ブラウザの設定、アプリケーションの導入といった準備が先に必要になります(e-Gov電子申請)。体調に波がある方や、ご家族が離れて暮らしている方には便利ですが、準備に時間がかかることもあります。期限が迫っている時は、紙で郵送する方が確実です。紙での郵送は、電子申請が始まった今も、引き続き使える方法として案内されています。

⚠️ 出した控えを必ず残す

審査請求書は、そのまま提出すると手元に何も残りません。書き上げたら、提出する前に全ページの写しを取ってください。郵送の場合は、差し出した記録が残る方法を選び、受領の控えも保管します。あとから理由を追加する時、何を書いたかがわからないと話がつながらなくなります。

行動としては、まず厚生局のページから用紙をダウンロードして印刷し、通知書の写し(裏面も)をコピーしてください。書き方に迷ったら、同じページにある記入例をそばに置いて進めます。次の章では、提出したあとに何が起きるのかを見ていきます。

審査請求を出したあとの流れ|保険者の意見・口頭意見陳述・決定

審査請求を出すと、まず審査官から処分をした保険者(障害年金では日本年金機構)へ通知が行きます。社会保険審査官及び社会保険審査会法第9条は、審査請求がされたときは保険者やその他の利害関係人に通知しなければならないとし、通知を受けた者は、審査官に対し、事件につき意見を述べることができると定めています。これがいわゆる保険者の意見書で、実務では「なぜその処分をしたのか」の説明にあたります。ここを読むと、通知書の短い一文より、ずっと詳しい理由がわかります。

段階誰が何をするか根拠
受理と通知審査官が、処分をした保険者に審査請求があったことを通知する同法第9条第1項
保険者の意見保険者が、処分の理由を書いた意見を審査官に出す同法第9条第2項
反論と資料請求人が、証拠となる文書その他の物件を出す同法第10条の3第1項
口頭意見陳述申立てがあれば、審査官が口頭で意見を述べる機会を与える同法第9条の3第1項
決定審査官が決定し、決定書の謄本が送られる同法第15条

📚 用語解説

口頭意見陳述:審査請求をした人が、書面だけでなく口頭で意見を述べる機会。申立てがあれば審査官は機会を与えなければならず、審査官が期日と場所を指定して、保険者などを招集して行われます。

口頭意見陳述には、もう一つ大事な意味があります。同法第9条の3第4項は、申立人は、審査官の許可を得て、原処分をした保険者に対して質問を発することができると定めています。書面のやり取りだけでは「どこがどう足りないのか」がはっきりしないことがありますが、その場で尋ねられる仕組みが用意されているということです。ただし、事件に関係のない事項にわたる場合などは、審査官が陳述を制限できるとも定められています。

審査請求を出してから決定まで 提出 審査請求書を出す 通知 保険者へ 意見 保険者が理由を説明 陳述 申立てがあれば 決定 決定書が届く
審査請求を出したあとの流れ。保険者の意見が出てから反論を組み立てるのが基本の順番(1軸ポジション図)
ご相談者相談者

決定が出るまで、どのくらい待つのでしょうか。生活のことを考えると、長く待てません。

社会保険労務士 梅田貴彦梅田

法律には、何か月以内という決まりはありません。ただ、第3条の2で厚生労働大臣は標準的な審理の期間を定めるよう努めるとされていて、目安は公にされています。それとは別に、国民年金法には審査請求をした日から2か月以内に決定がないときは、棄却されたものとみなすことができるという規定があり、先へ進む道も用意されています。

梅田が話した規定は、国民年金法第101条第2項です。決定を待ち続けるしかない、という作りにはなっていません。また同条第3項では、審査請求と再審査請求は、時効の完成猶予および更新に関しては裁判上の請求とみなす、とされています。不服を申し立てている間に時効で権利が消えてしまうことがないよう、手当てがされているということです。

審理の途中で、審査官が自分で調べることもあります。同法第11条は、審理を行うため必要があるときは、申立てにより、または職権で、請求人や参考人に出頭を求めて審問すること、文書その他の物件の提出を命じること、鑑定人に鑑定させることなどができると定めています。請求人の側から「この資料を取り寄せてほしい」と申し立てる道もあるということです。

💡 待っている間にやっておくこと

決定を待つ間も、今の症状と生活の記録を続けてください。通院の記録、できなかったこと、助けてもらったことを日付とともに残しておくと、再審査請求に進む時にも、もう一度請求し直す時にも、そのまま資料になります。「あの頃どうだったか」を後から思い出すのは、思った以上に難しいものです。

行動としては、保険者の意見が届いたら、必ず全文を読んで、「事実として違う部分」と「評価が違う部分」に線を引き分けてください。この2つは反論の組み立て方が違います。次の章で、その書き分け方を整理します。

理由書に何を書くか|「納得できない」ではなく「どこが事実と違うか」

審査請求でいちばん差が出るのが、理由を書いた書面です。ここで多いのが、生活の苦しさや、制度への思いを長く書いてしまうことです。お気持ちは痛いほどわかりますが、審査官が判断するのは原処分が法令と認定基準に照らして正しかったかです。書くべきことは一つ、「どの書類のどの記載が、実際の状態とどう違うのか」です。

書き方例届きやすさ
気持ちだけを書く生活が苦しい、納得できない事実の争点にならず、判断が変わりにくい
事実の食い違いを書く診断書の日常生活の欄が、実際の様子と違う確かめる対象がはっきりする
評価の誤りを書く就労はしていたが、援助があっての就労だった認定基準の当てはめの話になる
裏づけを添える家族の陳述書、受診の記録、支援の記録主張が資料で支えられる

証拠を出すことは、法律で認められた権利です。同法第10条の3第1項は、審査請求人は証拠となるべき文書その他の物件を提出することができると定めています。診断書を書いた医師に、記載の補足を書いてもらう。一緒に暮らすご家族に、朝起きてから寝るまでの様子を書いてもらう。就労先の方に、どんな配慮を受けていたかを書いてもらう。こうした書面が、「評価が実態と違う」という主張を支えます。

つまずく書き方 届く書き方 生活が苦しいと書く 生活の様子を事実で書く 全部おかしいと書く 争う点を一つに絞る 主張だけで終わる 陳述書や記録を添える 専門用語をまねる 自分の言葉で具体的に
理由書でつまずきやすい書き方と、同じ内容を届く形に直す方向(対応図)
ご相談者相談者

私は短い時間ですが働いていました。それが理由で軽く見られた気がします。

社会保険労務士 梅田貴彦梅田

そこは、よく争点になるところです。働けていた事実だけを取り出すと軽く見えますが、どんな配慮や援助があって続けられていたのかまでを書くと、見え方が変わります。当センターでも、就労が続いていたことが3級とされた大きな理由だろうと見立てて、そこに焦点を絞って主張し、2級に変わった事例があります。

梅田が話したのは、脊髄小脳変性症で障害厚生年金2級が認定された事例(静岡市)です。書類を丁寧に整えて請求したところ3級の認定となり、ご本人の状態と診断書の内容からは2級相当と考えて審査請求を行いました。3級となった理由を精査したところ、就労が継続できていた点が大きかったと見て、周囲の援助があって就労が続いていただけで、障害の状態としては決して軽くないことを主張し、社会保険審査官の決定により2級とされています。

📚 用語解説

陳述書:請求する本人や、家族・支援者などが、日常の様子や受けている援助を自分の言葉で書いた書面。診断書の短い欄では伝わりにくい生活の実態を補う資料として添えます。

書き始める前に、紙を1枚用意して2列に分けてみてください。左に「診断書や決定に書かれていること」、右に「実際はこうだった」。この2列が埋まれば、それがそのまま理由書の骨組みになります。埋まらないなら、まだ資料が足りていないということです。なお、審査請求でできるのは、基本的に原処分の当否を争うことです。「あのあと悪くなった」という話は、別の手続きで扱うことになります。

どこを争点にすべきか、通知書と診断書を見ながら一緒に整理します(相談は無料です)

審査請求の結果の読み方|容認・棄却・却下と「処分変更」という道

審査請求の結果は、大きく3つに分かれます。主張が認められる「容認」、認められない「棄却」、そもそも審査請求が不適法で中身を見てもらえない「却下」です。不適法で補正できないものは決定をもって却下しなければならない(同法第6条)、補正できるものは相当の期間を定めて補正を命じなければならない(同法第7条)と定められています。期限を過ぎた請求や、対象にならない事柄についての請求が、却下にあたります。

もう一つ、数字に表れにくい道があります。処分変更です。審査請求を受けた保険者が、審理の途中で自ら原処分を変更し、請求人が審査請求を取り下げる形で決着する場合があります。厚生労働省の統計表にも「処分変更あり」は、保険者により原処分の変更が行われ、(再)審査請求が取り下げられた件数の再掲である、と注記されています(出典:厚生労働省「社会保険審査会 年度別(再)審査請求 受付・処理状況の推移」)。

📚 用語解説

処分変更:審査請求や再審査請求を受けた保険者が、審理の途中で自ら最初の処分を見直して変えること。請求人は不服の申立てを取り下げる形になるため、「容認」の件数には含まれません。

令和7年度の件数 棄却 1166件 却下 90件 容認 75件 取下げ 54件
社会保険審査会が令和7年度に扱った再審査請求の内訳(全制度・件)。取下げ54件のうち36件は、保険者が原処分を変更したことによるもの(厚生労働省の統計表、2026年9月3日更新)(棒グラフ比較図)

数字も見ておきましょう。厚生労働省が公表している社会保険審査会の統計によると、令和7年度の再審査請求は受付1,699件、裁決1,331件(容認75件・棄却1,166件・却下90件)、取下げ54件(うち処分変更ありが36件)でした。このうち障害に関するものは、厚生年金保険の障害関係が受付770件・裁決564件(容認27件)、国民年金の障害関係が受付710件・裁決520件(容認25件)です(出典:厚生労働省「社会保険審査会 制度別受付・裁決状況」)。障害に関する裁決1,084件のうち、容認は52件でした。

ご相談者相談者

容認が52件…。思っていたよりずっと少ないです。やっても意味がないのでしょうか。

社会保険労務士 梅田貴彦梅田

この数字は、審査請求で決着がつかず、さらに上の段まで進んだ分だけを数えたものです。審査請求の段階で保険者が自ら処分を変える例は、この表には容認として出てきません。当センターでも、審査請求を出した結果、保険者の処分変更で等級が変わった方が何人もいらっしゃいます。大事なのは、数字より「争える中身があるかどうか」です。

当センターの事例を3つ紹介します。気分変調症で障害厚生年金2級が認定された事例(藤枝市)は、2016年5月の請求で3級の認定結果が届き、書類の記載内容・ご本人の状態・これまでの経過から明らかに不当と考えて審査請求を行い、保険者の処分変更により2級の認定を得たケースです。脳脊髄液減少症で障害厚生年金2級が認定された事例(焼津市)は、平成28年3月に不支給決定が届き、同年4月に審査請求、同年7月に保険者による処分変更となりました。認定日当時に通っていた他の病院のカルテを取り寄せ、障害の状態を証明したことが決め手でした。

3つめの平山病で障害厚生年金2級が認定された事例では、裁定請求で3級とされたため審査請求を行い、詳細な資料を付けたところ、保険者の処分変更により2級と認定されました。ただし、審査請求を行ったために、権利の回復までに1年半を要しています。結果が変わる可能性と、時間がかかることは、セットで考えておく必要があります。

⚠️ 審査請求をしても、年金の支払いは止まらないし、始まりもしない

同法第10条第1項は、審査請求は原処分の執行を停止しない、と定めています。不支給の決定に審査請求をしても、その間に年金が支払われるわけではありません。生活の立て直しは、審査請求とは別に考える必要があります。使える福祉の制度がないかも、あわせて確かめておきましょう。

行動としては、「争える中身があるか」を一言で説明できるかどうかを確かめてください。「診断書の◯◯の欄が、実際の△△と違う」と言い切れるなら、進む価値があります。言い切れないなら、まず資料を集めるか、出し直しを考えた方が早いかもしれません。

再審査請求と訴訟|2か月の期限、公開の審理、裁判までの道のり

審査官の決定にも納得できない時は、厚生労働省に置かれた社会保険審査会へ再審査請求ができます。期限は、同法第32条第1項により審査官の決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2月です。3か月ではなく2か月なので、審査請求より短いことに注意してください。審査官の決定書には、再審査請求ができる旨と再審査請求期間を記載しなければならない(同法第14条第2項)とされているので、届いた決定書に書かれている日付を必ず確かめます。

📚 用語解説

再審査請求:社会保険審査官の決定に不服がある時に、厚生労働省の社会保険審査会へ見直しを求める手続き。審査長と審査員による合議体で審理され、裁決という形で結論が出ます。

不支給の通知 最初の決定 審査請求 3か月以内 再審査請求 2か月以内 訴訟 6か月以内
内側に進むほど期限が短く、手続きが重くなる。どの段でも、前の段を経ていることが前提になる(入れ子の包含図)

社会保険審査会の審理には、審査請求にはない特徴があります。同法第37条は審理は、公開しなければならない。但し、当事者の申立があつたときは、公開しないことができると定め、第39条は当事者及びその代理人は、審理期日に出頭し、意見を述べることができるとしています。また第30条により、被保険者や事業主、受給権者等の利益を代表する「参与」が厚生労働大臣から指名され、口頭または書面で意見を述べることができる仕組みになっています(出典:厚生労働省「社会保険審査会における社会保険審査制度の概要」)。

審査請求再審査請求
相手方社会保険審査官(地方厚生局)社会保険審査会(厚生労働省)
期限処分を知った日の翌日から3か月決定書の謄本が送付された日の翌日から2か月
判断する人審査官が1人で、独立して決定する審査長と審査員の合議体で裁決する
意見の場申立てがあれば口頭意見陳述審理期日に出頭して意見を述べられる
公開規定なし原則として公開(当事者の申立てで非公開にできる)
ご相談者相談者

再審査請求まで進むと、どれくらい時間がかかるのでしょうか。

社会保険労務士 梅田貴彦梅田

正直に申し上げると、長くかかります。当センターでも、裁定請求から再審査請求を経て決着するまでに2年かかった方がいらっしゃいます。ですから、再審査請求へ進むかどうかは、見込みと生活の両方を見て決めることになります。進むと決めたなら、2か月の期限を外さないことがいちばん大切です。

梅田が話した事例は、ベーチェット病で障害厚生年金2級が認定された事例です。主治医の協力で納得のいく診断書を用意できたものの、裁定請求時の認定は3級でした。本人の状態から考えて納得がいかず審査請求を行い、そこでも認めてもらうことはできず、さらに再審査請求へ。厚生労働省による処分変更が行われ、2級の認定に至りました。ただし、最初の裁定請求から2年の年月が経過しています。

裁判まで進む場合の決まりも押さえておきましょう。国民年金法第101条の2は、処分の取消しの訴えは、その処分についての審査請求に対する社会保険審査官の決定を経た後でなければ、提起することができないと定めています。つまり、いきなり裁判はできませんが、再審査請求まで終える必要はありません。日本年金機構も、訴訟は原則として審査請求の決定を経た後でないと提起できないとしたうえで、審査請求があった日から2か月を経過しても決定がないとき、著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき、その他正当な理由があるときは例外になると案内しています(日本年金機構「年金の決定に不服があるとき(審査請求)」)。

訴訟の期限についても、同じページで、決定の送達を受けた日から6か月以内に国を被告として提起でき、原則として決定の日から1年を経過した後は提起できない、と案内されています。ここまで来ると弁護士に相談する領域になりますが、「どこまで進めるのか」を最初に知っておくと、途中の判断がぶれにくくなります。

審査請求と「出し直し」の使い分け|対象にならないものも知っておく

不支給になった時の選択肢は、審査請求だけではありません。もう一度請求し直す、事後重症として請求する、すでに年金を受けているなら額改定請求をする、という道もあります。どれを選ぶかは、不支給の理由が「判断の誤り」なのか「資料の不足」なのか、そして「今の状態が当時より重いか」で決まります。

方法向いている場面期限
審査請求当時の資料で、判断の当てはめが違うと言える処分を知った日の翌日から3か月
もう一度請求する診断書や申立書を整え直せば、実態が伝わる期限はない
事後重症として請求当時より症状が重くなっている65歳の誕生日の前々日まで
額改定請求すでに年金を受けていて、等級を上げたい原則として1年を経過した日の後

額改定請求の「1年」には法律の根拠があります。国民年金法第34条第2項は、障害基礎年金の受給権者は障害の程度が増進したことによる額の改定を請求することができるとし、同条第3項で障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除き、受給権を取得した日、または厚生労働大臣の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後でなければ行うことができないと定めています(出典:e-Gov法令検索「国民年金法」第34条)。

📚 用語解説

額改定請求:すでに障害年金を受けている方が、障害の程度が重くなったとして年金額の改定(等級の引き上げ)を求める請求。明らかに増進した場合を除き、原則として1年を経過した日の後でなければ行えません。

判断を争う ← → 資料を足す 急ぎたい 当時の判断を争う 整え直して出す 時間がかかる 1年の待ちあり 審査請求 もう一度請求 再審査請求 額改定請求
不支給の理由と、今の状態の変化で、進む道を選び分ける図。上ほど早く結果がほしい場合(2軸マトリクス図)
ご相談者相談者

審査請求と、もう一度請求するのと、両方やってもいいのでしょうか。

社会保険労務士 梅田貴彦梅田

どちらが早く、確かに生活につながるかで決めます。審査請求は当時の資料をもとに争うので、新しい診断書で実態を伝え直したい場合は向きません。逆に、資料は十分そろっていて当てはめだけが違うと言えるなら、審査請求が筋です。ご本人の体力と時間をどこに使うかという問題でもあるので、見立ててから動きましょう。

当センターの糖尿病・人工透析・筋萎縮症で障害基礎年金2級が認定された事例(吉田町)は、この見立ての大切さがよくわかるケースです。ご依頼の前に、ご自身で2回請求され、2度とも不支給でした。まず不支給理由の調査を行い、初診日証明ができていないことを確認。ところが年金記録と照合した結果、仮に初診日を証明できたとしても納付要件を満たさず不支給になることが判明したため、糖尿病での請求は断念しました。そのうえで、別の傷病である筋萎縮症の初診日なら納付要件を満たすことがわかり、そちらで請求して5年の遡及が認められています。

最後に、そもそも審査請求の対象にならないものも知っておいてください。東海北陸厚生局は、対象にならないものとして、処分(決定)が行われていないもの、陳情や要請、不明な点について説明や調査を求めるもの、制度そのものに対する不服、保険者の相談対応に対する不服、保険者の不作為によるものを挙げています。年金関係では、障害給付に係る診断書の記載内容に関すること、次回の診断書の提出年月に関すること、確認届による等級変更がないことに関することも対象外です(出典:東海北陸厚生局「審査請求関係でよくあるご質問」)。

つまり、「診断書の書き方に納得できない」という不満は、審査請求では扱えません。争えるのは、あくまで日本年金機構が行った処分そのものです。診断書の中身に問題があると感じるなら、医師に相談して書き直してもらい、もう一度請求する道を考えることになります。当センターの受給事例にも、出し直しで結果が変わったケースをいくつも載せています。

行動としては、紙に「不支給の理由」と「今の状態は当時と比べてどうか」の2つを書き出し、上の表のどの行に当てはまるかを見てください。当てはまる行が2つ以上あるなら、期限の短い方(審査請求)を先に押さえるのが安全です。

審査請求を、ひとりで進めるのが難しい3つの理由

不支給の通知が届いたあと、審査請求をひとりで最後まで進めるのは、正直に言って簡単ではありません。理由は、この記事で見てきたとおり3つあります。1つめは期限です。処分があったことを知った日の翌日から3か月という短い間に、通知書を読み解き、不支給の理由を調べ、書面を書き上げなければなりません。2つめは、不支給の理由が通知書には詳しく書かれておらず、自分で確かめに行く必要があることです。3つめは、理由書で争うのが「気持ち」ではなく「認定基準への当てはめ」だという点です。

では、どう進めればよいのか。考えられる進め方を一つずつ見ていきます。どれが悪いということではなく、「不支給の通知が届いた」という今の状況に、それぞれがどこまで手が届くかの違いです。

進め方できること審査請求の場面で足りないこと
自分ひとりで進める用紙は厚生局のページで手に入り、費用もかからず自分で出せる不支給の理由の調査、争点の絞り込み、認定基準への当てはめを、すべて自分で行う
年金事務所に相談する記録の確認、書類の説明、経由での受付処分をしたのは保険者の側なので、処分を争う主張の組み立てまでは期待しにくい
病院の相談員に相談する診断書の依頼や、院内の手続きについての相談通知書の読み解きや、法令・認定基準にもとづく反論の作成までは範囲の外になりやすい
社会保険労務士に依頼する理由の調査、争点の見立て、理由書の作成、代理での手続き費用がかかる。障害年金をどれだけ扱っているかは事務所ごとに違う
不支給の通知が届いた 自分ひとりで 調査も書面も自分で 年金事務所 記録の確認と受付 病院の相談員 院内の手続きが中心 社労士に依頼 調査から代理まで
不支給の通知が届いた時の進め方と、それぞれが主に手伝ってくれる範囲(判断分岐図)

ひとりで進める方法は、費用はかかりませんが、表の右の列をすべて自分で背負うことになります。体調が悪い中で、開示請求の手続きをして、届いた書類を読み込み、3か月以内に書面を仕上げるのは、それだけで大きな負担です。年金事務所は記録の確認や経由での受付をしてくれる大切な窓口ですが、処分をしたのは保険者の側ですから、その処分を争う主張まで一緒に組み立ててもらうのは難しい面があります。病院の相談員は、診断書に関わる院内の手続きでは心強い味方ですが、法令と認定基準にもとづいて反論を書く場面までは、どうしても範囲の外になりがちです。

ご相談者相談者

期限は3か月しかないのに、何から手をつければいいのかわかりません…。

社会保険労務士 梅田貴彦梅田

障害年金の請求や不服の申立てを、ご本人に代わって進められる国家資格が社会保険労務士です。審査請求は最初の見立てで結果がほぼ決まる手続きなので、通知書が届いたらすぐ、書き始める前の段階でご相談いただくのが近道です。

社会保険労務士は、社会保険労務士法にもとづいて、年金の請求書などの作成や、本人に代わっての手続き、行政機関への申立ての代理を仕事として行える国家資格です(出典:e-Gov法令検索「社会保険労務士法」第2条)。ですから、不支給の通知が届いた時は、障害年金を多く扱っている社会保険労務士に、期限が来る前に相談するのが近道です。相談先を選ぶ時は、審査請求で結果が変わった事例を公開しているか、相談や理由の調査にどこまで費用がかかるか、外出が難しくても進められるか、の3点を確かめてみてください。

オフィス・テンポイントの障害年金サポート

オフィス・テンポイント(障害年金支援センター静岡)は、社会保険労務士・社会福祉士の梅田貴彦が代表を務める事務所です。不支給の通知が届いた方からのご相談も受けています。支援の特徴は、次の6つです。

❶無料相談と、納付要件の確認まで無料

LINE・メールで相談でき、保険料の納付要件を調べるところまでは費用がかからない

❷最初から最後まで、完全非対面で進められる

メール・LINE・電話で最後まで進められ、希望すれば面談もできる

❸初診日がわからない方の、申請の可能性を探す

初診日が確定できずに申請をあきらめる前に、申請できる道を一緒に探す

❹約600件の診断書のデータベースを活用

いつ・どこで・どんな病気で、どんな内容の診断書が何級に認定されたかの蓄積を使う

❺申立書の作成から、代理での申請まで

病歴・就労状況等申立書を作り、病院への証明・診断書の依頼をして、代理で申請する

❻社会福祉士として、福祉と「はたらく」まで支える

受給が難しい場合も福祉の支援ができ、働き先の紹介まで行う

❶ 無料相談と、納付要件の確認まで無料

オフィス・テンポイント(障害年金支援センター静岡)では、LINEとお問い合わせフォームで無料相談を受け付けています。無料相談のあと、保険料の納付要件を満たしているかを調べるところまでは無料です(相談の流れのページの記載)。

この記事で見てきたとおり、審査請求で最初にすべきなのは、通知書を読んで「何を争えるか」を見極めることです。費用がかかる前の無料相談の段階で、通知書の内容と手元の資料から、争える中身があるかを一緒に確かめられます。

❷ 最初から最後まで、完全非対面で進められる

最初から最後まで、メール・LINE・電話を使った完全非対面で進められます。外出や対面が難しい方も利用できます。面談を希望する場合、静岡県内は無料で伺います(静岡圏外の場合は交通費の負担があります)。

不支給の理由を調べる作業は、年金事務所への問い合わせや開示請求の手続きが続き、体調によっては外出そのものが負担になります。非対面で進められるので、ご自宅にいながら審査請求まで進められます。

❸ 初診日がわからない方の、申請の可能性を探す

「障害年金とは」のページで、初診日の確定ができずに申請を断念される方が多いことにふれ、初診日がわからない方のために、何とか申請ができるよう可能性を探ると案内しています。

不支給の理由でとくに多いのが、初診日を証明できなかったという判断です。あきらめる前に、別の資料で初診日を示せないか、別の傷病で請求する道がないかまで含めて可能性を探ります。

❹ 約600件の診断書のデータベースを活用

約600件の診断書のデータベース(いつ・どこで・どんな病気で、どのような内容の診断書が何級の認定を受けたか)を活用し、的確な診断書の作成につなげています(はじめての方へのページの記載)。

審査請求で争点になるのは、多くの場合、診断書に書かれた日常生活の状態の評価です。蓄積したデータを生かし、実態が伝わる記載につなげることが、結果を変える手がかりになります。

❺ 申立書の作成から、代理での申請まで

契約のあと、発病から今までの状況を書く「病歴・就労状況等申立書」を作成し、医療機関に受診状況等証明書と診断書の作成を依頼します。書類がそろい次第、代理で申請します(相談の流れのページの記載)。

審査請求では、理由書に加えて陳述書や当時の記録など、主張を支える資料をそろえる必要があります。書類づくりから病院への依頼、代理での手続きまでを一つの事務所で行うので、資料どうしの食い違いをまとめて確かめられます。

❻ 社会福祉士として、福祉と「はたらく」まで支える

代表の梅田貴彦は社会保険労務士と社会福祉士の資格を持っています。面談の結果、障害年金の受給が難しい場合でも福祉の支援は可能で、働き先の紹介まで行い、生活の基盤づくりを手伝っています(はじめての方へのページの記載)。

審査請求をしても結果が変わらないことはあります。それでも、そこで終わりにはしません。社会福祉士として、使える福祉の制度や、働く場所の相談まで一緒に考えます。

ご相談から申請までの流れは次のとおりです(相談の流れの記載)。審査の期間の目安は、障害基礎年金で平均2〜3か月、障害厚生年金で平均3〜6か月で、難しい場合はそれ以上かかることもあると案内しています。

無料相談
→
納付要件の確認(無料)
→
ご契約
→
書類の収集・作成
→
代理で申請
通知が届いてから、ご相談いただくまでの時間 届いた日 すぐ相談が一番よい 1か月 理由の調査に動ける 2か月 書面づくりを急ぐ 3か月 期限が来てしまう
相談が早いほど、理由の調査と資料集めに使える時間が残る。期限は処分を知った日の翌日から3か月(1軸ポジション図)
ご相談者相談者

静岡に住んでいないのですが、相談してもいいんでしょうか?

社会保険労務士 梅田貴彦梅田

もちろんです。メール・LINE・電話で最初から最後まで進められるので、静岡県外の方もご相談いただけます。面談をご希望の場合、静岡県内は無料で伺い、県外は交通費のご負担をお願いしています。まずは、届いた通知書に何と書いてあるかだけでも教えてください。

審査請求で結果が変わった方の事例は、受給事例の一覧で読めます。はじめて相談される方ははじめての方へと障害年金とはもあわせてご覧ください。相談は無料です。今わかっていることだけで構いませんので、LINEかメールでお送りください。

期限は3か月です。通知書が届いたら、まず無料相談で争点を一緒に整理しましょう

まとめ|不支給の通知は終わりではなく、次の手続きの入口

障害年金が不支給になった時の審査請求について、もう一度整理します。不支給の通知は、日本年金機構が行った一つの処分にすぎません。その処分に不服があるなら、社会保険審査官に見直しを求める道が法律で用意されています。大切なのは、期限を外さないことと、争う中身をはっきりさせることの2つです。

✔️通知書の「不支給」と「却下」のどちらか、そして日付を最初に確かめる
✔️審査請求の期限は、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内
✔️理由がわからない時は、保険者への説明の求めと、保有個人情報の開示請求で確かめる
✔️理由書には気持ちではなく、「どの記載が、実際の状態とどう違うか」を書く
✔️審査官の決定に不服なら、決定書の謄本が送付された日の翌日から2か月以内に再審査請求
✔️資料を整え直した方が早い場合は、審査請求ではなく、もう一度請求する道も選べる
資料は足りている ← → 足りない 当時より重い 今の重さで出す 新しい診断書で 当時の判断を争う 整え直して出す 審査請求が筋 資料を足して再請求 額改定請求 事後重症で請求
当時の資料がそろっているかと、今の状態が当時より重いかで、進む道を見分ける図。上ほど当時より重い(2軸マトリクス図)
ご相談者相談者

読んでみて、まだできることがあるとわかりました。まず何から始めればいいですか?

社会保険労務士 梅田貴彦梅田

まずは、届いた通知書を手元に出して、日付と理由の欄を書き写してみてください。それだけで、期限がいつまでで、何を確かめに行けばよいかが見えてきます。書き写したものを見ながら、一緒に次の一手を考えましょう。

不支給の通知が届いた時、多くの方が「もうだめなんだ」と受け取ってしまいます。けれど、法律は最初からやり直しの道を用意していて、実際に保険者が自ら処分を変えることもあります。ただ、審査請求の3か月も、再審査請求の2か月も、待ってはくれません。「落ち着いてから考えよう」ではなく、今日、通知書の日付を確かめるところから始めてください。

通知書の日付と理由を見ながら、間に合うかどうかを一緒に確かめます(相談は無料です)

よくある質問

期間(か月) 審査請求の期限 3か月 再審査請求の期限 2か月 訴訟の提起 6か月 開示の決定まで 1か月
不支給のあとの手続きにかかわる期間を月数で並べた図。審査請求は処分を知った日の翌日から3か月、再審査請求は決定書の謄本が送付された日の翌日から2か月、訴訟は決定の送達を受けた日から6か月、保有個人情報の開示の決定は請求から原則30日以内(棒グラフ比較図)
よくある質問くわしい説明がある章
不支給と却下の違い不支給と却下はどこが違うのか
期限に間に合わない時審査請求の期限は3か月
不支給の理由の調べ方不支給の理由を確かめる3つの段階
費用はかかるのか審査請求の出し方
審査請求と再請求のどちらか審査請求と「出し直し」の使い分け

Q. 審査請求に費用はかかりますか?

A. 審査請求そのものに手数料はかかりません。出すものは審査請求書と、処分の決定通知書の写し(裏面があれば裏面も)の2点です(東海北陸厚生局「社会保険審査官」)。ただし、開示請求で文書の写しを取る場合は、1件につき300円の手数料と郵送料がかかります(日本年金機構「情報公開・個人情報保護」)。

Q. 3か月の期限を過ぎてしまいました。もう何もできませんか?

A. 審査請求は原則としてできなくなりますが、社会保険審査官及び社会保険審査会法第4条第1項のただし書で、正当な事由により期間内に審査請求できなかったことを疎明したときは例外とされています(e-Gov法令検索)。また、審査請求とは別に、資料を整え直してもう一度請求する道は、期限なく残っています。

Q. 審査請求をしている間、年金は支払われますか?

A. 支払われません。同法第10条第1項は、審査請求は原処分の執行を停止しない、と定めています。不支給の処分に審査請求をしても、その間に年金が出るわけではないので、生活の手当ては別に考えておく必要があります。

Q. 不支給の理由が通知書に一言しか書かれていません。詳しく知る方法はありますか?

A. まず、処分をした年金事務所に説明を求めてください。東海北陸厚生局も、審査請求の前に保険者から詳細な説明を受けるよう案内しています(東海北陸厚生局)。それでも足りない時は、日本年金機構への保有個人情報の開示請求で、審査に使われた記録を取り寄せられます。

Q. 審査請求と、もう一度請求し直すのは、どちらが有利ですか?

A. 不支給の理由によります。当時の資料はそろっていて当てはめだけが違うと言えるなら審査請求、資料が足りず診断書を整え直す必要があるならもう一度請求する方が、結果につながりやすい場面が多いです。審査請求には3か月の期限があるため、迷う時は期限の短い方を先に押さえます。

Q. 診断書の書き方に納得できません。これも審査請求で争えますか?

A. 争えません。東海北陸厚生局は、障害給付に係る診断書の記載内容に関することは審査請求の対象にならないとしています(東海北陸厚生局「審査請求関係でよくあるご質問」)。争えるのは日本年金機構が行った処分そのものです。診断書の中身は、医師に相談して直してもらう道を考えます。

参考にした資料(確認日:2026年10月20日)

  1. e-Gov法令検索「社会保険審査官及び社会保険審査会法」(第4条・第5条・第9条の3・第32条ほか)
    https://laws.e-gov.go.jp/law/328AC0000000206
  2. e-Gov法令検索「国民年金法」(第34条・第101条・第101条の2)
    https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141
  3. e-Gov法令検索「行政手続法」第8条(申請により求められた許認可等を拒否する処分の理由の提示)
    https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000088
  4. e-Gov法令検索「社会保険労務士法」第2条
    https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC1000000089
  5. 日本年金機構「年金の決定に不服があるとき(審査請求)」
    https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/kyotsu/fufuku/20140709.html
  6. 日本年金機構「情報公開・個人情報保護(保有個人情報の開示請求)」
    https://www.nenkin.go.jp/info/kaiji.html
  7. 日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」
    https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/jukyu-yoken/20150514.html
  8. 東海北陸厚生局「社会保険審査官」(提出書類・管轄・連絡先)
    https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/gyomu/bu_ka/shakaihoken_shinsa/index.html
  9. 東海北陸厚生局「審査請求関係でよくあるご質問」(審査請求の対象にならないもの)
    https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tokaihokuriku/faq/11shinsa/index.html
  10. 厚生労働省「社会保険審査会における社会保険審査制度の概要」
    https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/shinsa/syakai/02-01.html
  11. 厚生労働省「社会保険審査会 年度別(再)審査請求 受付・処理状況の推移」(令和7年度)
    https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/shinsa/syakai/03-01-01.html
  12. 厚生労働省「社会保険審査会 制度別受付・裁決状況」(令和7年度・障害関係)
    https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/shinsa/syakai/03-01-04.html
  13. 日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」
    https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/shougainenkin/ninteikijun/20140604.files/01.pdf
  14. e-Gov電子申請(社会保険審査請求の手続き)
    https://shinsei.e-gov.go.jp/
社会保険労務士 梅田貴彦

監修者の紹介

梅田 貴彦

社会保険労務士・社会福祉士
社会保険労務士法人オフィス・テンポイント 代表社員

労働・社会保険と福祉の架橋になります。事務所理念より

  • 大学卒業後一般企業の営業職に従事したのち、福祉の世界へ
  • 2007年社会福祉士を取得。居宅のケアマネジャーとして、人々のリタイア後の生活に触れる
  • 2013年社会保険労務士試験に合格。労働・社会保険と福祉の連携で救われる人は多いと感じ、起業を決意
  • 2014年社会保険労務士事務所を開業
  • 2017年事務所を法人化し、社会保険労務士法人オフィス・テンポイントに
  • 現在障害年金支援センター静岡を運営。成年後見 ぱあとなあ静岡、障害年金支援ネットワークの会員

受給事例・相談者の声は、当センターのサイトに載せている件数(2026年10月14日時点)。診断書のデータベースは「はじめての方へ」のページの記載。経歴は、事務所&社労士紹介のページと、テンポイントグループのセミナーポータルの代表紹介の記載です。

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